グースネックの卓上電気スタンド

卓上電気スタンド

 アメリカ製の卓上電気スタンドです。年代はデザイン的にアールデコ華やかな1920年代と思われます。貝殻風意匠の鉄製ベースからグースネックがのび、アルミ製の回転する笠がソケットに付いています。このデザインのスタンドはいまだに作られています。
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今和次郎・吉田謙吉著「考現学採集:モデルノロヂオ」(1931)

考現学採集

 早稲田大学建築学科教授の今和次郎と、デザイナーの吉田謙吉の共著による、1931年(昭和6年)建設社刊の本です。考現学とは考古学の対義語で、現代の風俗習慣等を観察する「学問」だそうです。内容は例えば1931年のある日の銀座における路上広告の観察と集計とか、現在でも「路上観察学」として継続されているような内容の嚆矢です。確かに1931年の「現代」をしっかりと定量的に切り取っており、80年後の現在から見ると貴重なデータになっています。これはまさに作者の意図したことが実現しているということなのでしょう。このお二人のお仕事には、今後別の側面からも触れると思います。

壁スイッチ(リプロダクト品)

壁スイッチ

 陶器と真鍮でできた壁スイッチです。イギリス製のリプロダクト品で、現在の日本の安全基準に沿っている製品です。イギリスはさすがにアンティークが盛んな国だけあって、このような、リプロダクト品が多数見受けられます。当時の日本の一般家庭は壁スイッチではなく、電笠に付いたスイッチを直接ひねる場合が多かったと思いますが、旧華族邸の洋館などでは良く見かけるタイプのスイッチです。

自動電話機と電鈴

電話

イギリスのPEEL-CONNER社製自動電話機と1号電鈴です。日本の市内電話が交換手を使わず自動化したのは関東大震災後なので、ダイヤル式の自動電話はそれだけで昭和モダンです。この電話機はイギリス製なのですが、ダイヤルに漢数字が書き込まれており、日本で使用された形跡があります。おそらく昭和初期の物であると思われますが、来歴は不明です。ちなみに市外電話まで全自動化したのは戦後大分経ってからだそうです。

旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)

朝香宮邸

 朝香宮家は幕末に活躍した久邇宮家から分かれた旧皇族です。当主朝香宮鳩彦王がフランス留学の折、当時パリで流行していたアールデコに非常に感銘を受けて帰国し、このお屋敷を白金台に建てました。竣工は1933年(昭和8年)、設計は宮内省内匠寮、内装はアンリ・ラパンです。アールデコの粋を極めたと言われる内外装は現在東京都庭園美術館として公開されているため、見学することができます。内部で開催される企画展もアールデコやその周辺の文化を取り上げることが多く、大変興味深いです。

Zeiss-Ikon Contax I

Contax I

 ドイツのツァイスイコン社製、コンタックスI型カメラです。1932年(昭和7年)から1938年(昭和13年)まで販売されました。これは1933年製です。35mmフィルムを使ったライカの成功を受け、ツァイスイコン社が送り出した当時世界最先端カメラで、シャッタースピードが1/2〜1/1000という当時としては破格のスペック、バヨネットマウント式ですばやく交換できるレンズ、ラインナップに開放f=1.5の明るいレンズと、今見ても通用する性能です。この写真についているレンズ(Tessar)は開放f=8と暗いですが、焦点距離2.8cmと当時としては超広角レンズで、私はこのレンズの描写が大好きでよく使っています。ツァイスイコン社は経営不振に堕ちいったドイツの大手カメラメーカー4社をツァイスが主導して1926年に合併再編した当時世界最大のカメラメーカーです。当時の日本は輸入カメラに高関税をかけていたこともあり、このコンタックスI型カメラは今の金銭感覚にして100万円以上の超高級カメラで、とても庶民の手が出る物ではありませんでした。

林房雄「都會双曲線」(1930)

都会双曲線

 林房雄(1903-1975)の所謂プロレタリア小説集です。表題作の他にいくつかの短編からなります。1930年(昭和5年)1月刊で、装丁は村山知義。面白いのは著者あとがきに、治安維持法により二年間禁固が決まり、これから収監されると書いてあるのです。共産党に資金援助した疑いとのことですが、二年後彼は転向を表明して釈放され、その後は国策に沿った活動を行い、戦後公職追放されたりします。さらに面白いのは彼は戦後この転向を撤回せず、民族派の論客として、「大東亜戦争肯定論」等を発表したりするのです。治安維持法施行まで様々な分野の芸術作品を彩ったプロレタリア活動は丁度昭和モダンの時期と一致した流行?の一つで、時代を語る上で無視することはできません。

電笠

電笠

 照明用の電笠です。行灯を基にしたような純和風デザインです。製作年代は不明ですが、おそらく戦前の物でしょう。今は白熱灯のソケットにLED電球が入っています。電線と天井の取り付け具は現代のリプロダクト品です。レトロに見せてはいますが、菊型の陶器の中には現代の規格の引っ掛けシーリングが入っています。和室にぴったりとマッチしています。やっぱり和室に蛍光灯は合いません。

柱時計

柱時計

 振り子式の柱時計です。修理をした方によると昭和初期の無名メーカー製(確かに安かった)だそうです。一週間に一度ゼンマイを巻くと、ほぼ正確(±一分程度)な時間を刻みます。1時間に一度時報を「ボーンボーン」と告げ、何とも懐かしい気分にさせられます。そう言えば亡くなった祖父母の家にこんな時計がありました。八角形のデザインにアールデコ風の市松模様のアクセントがモダンさを主張しています。真鍮製の振り子にはアールヌーボー風の唐草を模した振り子押さえが付いています。しかしいまだに機械式の柱時計を修理してくれるお店があるのですね。

蓄音機(HMV-157)

gramophone.jpg

 フロアー型のイギリスHMV社製蓄音機(HMV-157)です。1930年(昭和5年)頃に作られた製品です。78回転のSPレコードが再生でき、横のハンドルを回してゼンマイを巻くと、ほぼ両面聴くことができます。でも両面で8分弱ですが。全く電気が使われていないので停電でも聴くことができます。再生してみると意外と音が大きく、夜中は聴けません。さらに片面毎に鉄製の針を使い捨てるのであまりエコではありません(笑)。針などの消耗品は現代でも製造されており、ゼンマイも新品からデッドストックのオリジナルまで結構在庫があるようです。修理も購入店でできました。モノラルでダイナミックレンジは狭く、針の摺音も大きいですが、何と言うかアナログの「血の通った」音がします。確かに生きた人間がそこで楽器を演奏している臨場感を感じることができます。気のせいかもしれませんが。

九段下ビル(今川小路共同建築)

九段下ビル

 神保町から九段下の間の靖国通り沿いにある、唯一実現した震災復興ビルだそうです。(設計:南省吾)戦災にも堪え、現在まで東京に残っているのはとても珍しいと思います。1927年(昭和2年)に竣工ということで、まさに昭和モダン。スクラッチタイルとアールデコ風の意匠が当時のモダンさを窺わせます。取り壊しが決定ということでこの姿も間もなく見られなくなります。

昭和モダンとは(付:昭和初期の文化住宅)

文化住宅

 昭和モダンとは、Wikipediaによれば1920年(大正9年)以降の、和洋折衷の近代市民文化のことです。この世界的なアールデコの流行を取り込んだ独自なレトロフューチャーな雰囲気が私は大好きです。戦前というと一緒くたに暗い世相をイメージされる方も多いと思いますが、調べてみると少なくとも都市部は意外と明るくてモダンな消費文化が花開いていたようです。写真は千葉市内で撮った所謂文化住宅です。昭和初期に一戸建てを持てるようなサラリーマン(当時はエリート層)の間で流行った、和風の住宅に洋風の応接間がくっついている今思えば不思議な形式です。
 今後折に触れ、こんなガジェットを脈絡なく貼付けていきたいと思います。
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